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ピーター・ラフ氏=ハドソン研究所提供

 バイデン米政権は欧州などの同盟国と結束し、ロシアの侵攻を受けたウクライナを支援してきました。この4年間をどう評価するのか。米ハドソン研究所で欧州ユーラシアセンター部長を務めるピーター・ラフ上級研究員は、そもそもロシアの「抑止」に失敗したことや、支援が小規模で遅れがちだったことの弊害を批判的にみています。

 ――バイデン政権をどう評価しますか。

 抑止の失敗は大変な汚点だと思います。バイデン氏は大統領就任後、まずロシアのプーチン大統領と首脳会談をしましたが、ウクライナのゼレンスキー大統領とはしませんでした。ロシアの天然ガスをドイツに送る「ノルドストリーム2」計画にゴーサインを出し、ロシアが軍隊の(ウクライナ国境への)配備を強化しても反応は鈍かった。さらに米軍のアフガニスタン撤退の失態やメルケル独首相退任も重なり、プーチン氏に今こそ急所をついて全面戦争に踏み切るべき時だと思わせる形勢になりました。

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 ――侵攻開始後は。

 キーウが陥落しないと分かっ…

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