佐橋亮さん

 「米中関係を救うのはイーロン・マスク氏ではないか。そのような楽観的な期待が中国にあるのは事実です」

 1月13日配信の記事「中国、トランプ再来で『マスク効果』期待 新時代のキッシンジャー?」に、東京大学東洋文化研究所教授の佐橋亮さんは、こうコメントした。

 記事では、トランプ次期米大統領の就任が迫るなか、同氏に近い起業家イーロン・マスク氏の動向が中国で注目されていることを伝えた。マスク氏は「政府効率化省」トップに指名され、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議に参加するなど外交にも関与している。中国政府も良好な関係を築いており、対中強硬路線が鮮明なトランプ次期政権にあって中国に有利に影響するとの期待があるという。

 佐橋さんは「こうした楽観論の一方で主流にみえるのは、もちろん米中関係の先行きに対する悲観論です」と指摘する。中国にとって、台湾問題や人権問題でトランプ次期政権がレッドラインを越えてこないかなど、心配は尽きない。それは「マスク氏にしか希望を託せない状況、とさえ言えるかも知れません」。

 マスク氏は米中関係の橋渡し役になれるのか。佐橋さんは「マスク氏が外交にどこまで口を出せるかに加え、『賞味期限』が問題」だと指摘する。

 トランプ前政権で首席戦略官を務めた元側近のスティーブ・バノン氏は、トランプ氏と対等に見える雑誌の表紙が出たことも一因となって政権を追われたという。すでにニューヨーカー誌は、トランプ氏以上にマスク氏を目立たせた就任式の風刺画を掲載した。実力者として脚光を浴びるマスク氏をめぐり、佐橋さんは次のように締めくくった。

 「果たして、トランプ氏がマスク氏をどこまで許容できるか」

 この記事や、佐橋さんのコメント全文はこちらから(http://t.asahi.com/wok1)。

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