被災後、注意が必要な子どもの症状

 能登半島地震からまもなく4カ月になる。能登半島地震で特に被害の大きかった石川県珠洲市・輪島市・能登町・穴水町では、0~14歳の人口は約4千人。災害後、子どもの健康を守るうえで何に注意が必要なのか。

 東北大が東日本大震災から4年間で行った宮城県内の子どもへの健康調査では、津波や住環境の変化を経験した子どもは、情緒や行動面での生活の困難さを抱えている割合が高かった。強いストレスなどが影響していると考えられるという。

 国立病院機構本部DMAT(災害派遣医療チーム)事務局の岬美穂さんは2012~17年、東日本大震災で被災した福島県沿岸部の自治体が開く乳幼児相談会に小児科医として協力してきた。そこでは子どもの発達や夜尿、肥満、親の精神不安など、様々な相談があったという。

 岬さんは「災害発生後は、食生活の変化や運動不足によって肥満や虫歯が増えることがあるが、一時的なもの。中長期的には心のケアが最も重要になってくる」と語る。

 子どもは親や家庭環境の影響を受けやすいため、「親の生活再建も含めた支援が子どもたちの安定につながる」という。岬さんらが監修したサイト「災害時の子どもの生活ガイド」(https://sonaeru-online.studio.site/)では、親子のケアや生活支援に関する情報をまとめている。

 心理面では、具体的に何が起こりえるのだろうか。

 一般的に、災害時のトラウマ体験がその後のフラッシュバックにつながったり、環境が変わった二次的なストレスによって不安や抑うつが生じたりする。心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったり抑うつ状態が続いたりすることもあり、子どもも例外ではない。発達障害などがある子どもでは、心理面への影響が強く出ることがある。

 かんしゃくや夜間の中途覚醒、生活リズムの乱れなどは、注意して見ていく必要がある。国立成育医療研究センター前副院長で子どものこころ専門医の小枝達也さんは、「長く続くようであればかかりつけの小児科医や児童精神科医に相談してほしい」と語る。(松本千聖)

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