泉谷しげるさん=東京都目黒区、鬼室黎撮影

 《1993年7月、北海道南西沖地震が発生。奥尻島の被害を前に、路上ライブで募金活動を始める。訴えたのは「お前ら、募金しろ!」だった》

 シンガーソングライターで俳優の泉谷しげるさんが半生を振り返る「叫ぶ、ねたむ、かけずりまわる」。全4回の最終回です。(2025年1~2月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)

 衝動ですよ。衝動的に路上ライブを思い立った。あのとき被災地の写真に、泥にまみれているCDが映っていた。それを見て思ったんだ。自分のファンも1人や2人あそこにいて、ひどい目にあってるかもしれない。すぐに事務所のスタッフに電話をかけて伝えた。ひとりでフォークゲリラをやるぞ、と。

 最初から、これは売名行為だと言った。どうせ言われるんだから、先に言っとくわ、と。「一日一偽善」とも呼びかけた。でも偽善っちゃあ、偽善でしょう。誰だって毎日毎日、地震のことばかり考えられるわけはないんだから。8月に東京ドームの前でやり、各地で歌って、沖縄まで行った。

 募金してくれた人には、ほっ…

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