認知症と診断されたら、本人や家族にとって、「これからの生活にどれくらいお金がかかるのか」は大きな不安の一つ。経済的な不安を軽減するための制度を、専門職や家族向けに解説した「認知症のある人への経済支援まるわかりガイドブック」がこのほど発売されました。編著者の一人で、医療ソーシャルワーカー(SW)として働いた経験がある岡山県立大の竹本与志人教授(社会福祉学)に、経済的な問題や必要な支援について聞きました。
――認知症のある人や家族の経済状態が悪化する背景とは。
高齢者の場合は、公的年金が主な収入で、支出が増えるとたちまち生活苦に陥りやすいという特徴があります。
一方、65歳未満で認知症を発症した人は、仕事を辞めるなど就労に影響を及ぼして、収入が減少することがあります。
介護が必要になっても、若いために介護サービスを受けることに抵抗があったり、ニーズに合わなかったりすることもある。結果として配偶者などが介護を担えば、その人の就労制限や離職につながる可能性もあります。
ヤングケアラーや8050問題も絡む「お金の問題」
――医療機関で長年働かれて…