【動画】日米安保の重要拠点に迫る中国資本、疑惑を追う
政府が自衛隊基地の用地として鹿児島県にある無人島「馬毛島」の国有化を目指していた2019年秋、島のオーナー企業の代表取締役(当時)が、中国の国有企業から資金提供を持ちかけられたと周囲に話していたことがわかった。
同時期、オーナー企業の代表取締役(当時)と国有企業幹部が開いた会合に、桜田義孝・元五輪担当相が同席していた疑いもある。
19年秋の時点で島の土地のほぼ全域を所有していたのはタストン・エアポート(東京都)。複数の関係者の証言や同社の代表取締役(当時、21年死去)の発言を記録した動画などによると、代表取締役は19年9月上旬、中国の国有企業側から上海に招かれ、融資や出資を打診されたという。
直後の時期、国有企業の幹部らが来日し都内で開かれたとされる会合の写真には、代表取締役のほか、桜田氏とみられる人物が同席する様子が写っていた。
桜田氏は取材に、写真の人物について「これは俺だ」との認識を示し、「(会合に)いたんだろう。誰に呼ばれたのかわからないが、相手がどういう人間かわからないので十分に気をつけるべきだった」と述べた。
国有企業には書面で見解を尋ねたが、回答が得られなかった。
馬毛島は、11年の日米合意で米空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)の実施場所の候補地とされた。政府は19年11月末にタストン・エアポートとの間で約160億円での買収に大筋合意した。23年1月から自衛隊基地の新設工事が行われている。