【予告編】刑務所で学び直す

 「良い人と悪い人の線引きはどこにあると思いますか」

 高松刑務所(高松市)の学び直しの場「教科指導」の教室で昨年5月末、講師の田村正教さん(58)が3人の受刑者に問いかけた。

 「顔を見てもわからない。話せば性格が悪いとかわかるけど」。1人が答える。

 「片目が義眼なんですけど……」。ヒラタさん(52)=仮名=が口を開いた。

 「周りには『それ見えんの?』『見えんのにつけとって意味あるん?』と言われて。つきあいにくいなと思いました」

居室で自習をするヒラタさん=2024年2月15日午前10時51分、高松市松福町2丁目、多知川節子撮影(画像の一部を加工しています)

 窃盗の罪で服役しているヒラタさんは教科指導を受け始めて2カ月。最初は硬い表情で物静かだったが、次第に思いを口にするようになっていた。

 「嫌な思いをしてきたという義眼について自分から話をされたので驚きました。この教室では自己表現をしてもいいんだと心を開いてくれたのかな」。田村さんはそう感じた。

小学校の内容から学び直す高松刑務所の「教科指導」の現場から届ける連載。3回目の今回は、目の障害が社会での生きづらさにつながっていた受刑者の姿を伝えます。

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 ヒラタさんは関西出身。5歳のころ、別の子がバットで打った石が目に当たり、片目の視力を失った。

 小中学校では、見えなくなっ…

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