早川憲二郎さんと愛猫のふぅちゃん。「ペットヘルパー」のサービスを昨年11月から利用している=家族提供
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 京都市の早川憲二郎さん(83)、昭子さん(80)夫妻が猫を飼い始めて、約40年になる。

 今の愛猫は「くろすけ」と「ふぅちゃん」の2匹。どちらも保護猫だった。

 「夫婦でテレビを見ていると、僕のひざの上には『くろ』がのり、妻のひざには『ふぅちゃん』がいる。それが、いつもの風景でした」

 猫の世話は、主に妻の担当だった。ただ、数年前に認知症の診断を受け、猫用トイレのシート交換や食器洗いなどが徐々に難しくなってきた。昨年秋には転んで足の骨が折れる大けがをし、2月下旬まで長期入院した。退院後は自宅に戻り、介護保険サービスを利用しながら暮らす。

 かわって2匹の面倒をみることになった憲二郎さんも、要介護1の認定を受けている。ペットの世話がしんどく感じるようになってきていた。

 そんな早川さん宅を、「ペットヘルパー」の松井幸子さんが月1回訪問するようになったのは、昨年11月末からだ。夫婦にかわって、猫用トイレの洗浄(丸洗い)や爪切りなどの世話をしている。料金は1回3千円だ。

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 松井さんは、野良猫の不妊手術、迷子猫捜しなどのサービスを関西で展開する「ねこから目線。」(本社・大阪市)のスタッフだ。

 同社は昨年2月、高齢者が猫を飼い続けるためのペットヘルパーの派遣事業(「飼い続ける支援」)を始めた。

 関東で暮らす早川さんの長女が、「飼い続ける支援」の情報を新聞記事で見つけ、憲二郎さんに薦めたのが、利用のきっかけだった。

 ヘルパーの松井さんは、訪問時には猫たちや早川さん夫妻の様子を撮影し、長女にLINEで報告している。離れて暮らす家族に安心してもらうためのサービスの一つだ。

 「ねこから目線。」代表の小池英梨子さん(34)は、動物愛護NPOでも長く活動し、体調不良や入院などで高齢者がペットの世話ができなくなる事例を数多く目にしてきた。

 「高齢者の飼育放棄は将来さらに大きな問題になると思うが、少しの手助けがあれば飼い続けられる人も少なくない」と小池さん。そんな思いから生まれたのがペットヘルパーサービスだった。

 支援のポイントは、高齢の飼…

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