親になる①~女性カップルと法案

 高校3年生のナナ(仮名)は今月、18歳になった。両親はともに女性だ。

 親元を離れ、寮生活をしている。

 スマートフォンには、友人や彼氏との思い出の写真や動画が詰まっている。遊びに行ったプールやテーマパーク、スキー旅行、彼氏とけんかした日の写真……。クレーンゲームで遊ぶ彼氏の動画をみて、ナナは笑う。

 「下手なんですよ、一回も取れたところを見たことがない」

 女性のパートナーがいる母(52)が30代のとき、ナナを生んだ。海外の精子バンクを使い、日本の医療機関で生殖補助医療を受けた。当時の日本では同じように出産する女性同士のカップルはほとんど見つからなかったという。

連載「親になる ~女性カップルと法案」

 長年求められてきて、やっと動き出す法整備のうらで、大きな影響を受ける人たちがいます。様々な視点から全6回の連載と「そもそも解説」で考えます。[1]女性同士のカップルのもとに生まれた18歳のいま [2]子を望む女性カップルの声 [3]政治家のアンサー [4]多くの人に関わる問題として捉える家族社会学者の視点 [5]協力してきた医療機関の考え [6]憲法学者の視点

 成長したナナは今、どんなことを思うのか。

ここから続き

 日ごろは、自身の生まれや精…

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