移植用の心臓を運んでいた福島県警ヘリが2020年2月、郡山市の田んぼに落ちた事故で、県警は24日、機長で操縦士だった40代の男性警察官を業務上過失致傷容疑で福島地検に書類送検した。
捜査関係者によると、男性は同年2月1日午前8時ごろ、ヘリを同市三穂田町下守屋の田んぼに不時着させて横転させ、搭乗者らにけがを負わせた疑いがある。7人の搭乗者は当時27~59歳の男性の警察官や医師で、うち4人が胸や腕の骨が折れる重傷、3人が軽傷を負った。事故により移植手術は中止になった。
国の運輸安全委員会によると、ヘリは会津若松市の病院から福島空港に向かう途中で、1千メートル以上の高度で異変が起きた。JR郡山駅の南西約15キロに落ち、周辺には集落もあった。
同委は今年1月の報告書で、ヘリが下降気流にあった際、機長の操作が原因で、メインローター(主回転翼)が「ドライブシャフト」と呼ばれる後部の駆動軸を切断し、操縦困難に陥った可能性が高いと結論づけていた。(波多野陽)
福島県警警備課によると、書類送検された40代の男性警察官はいまも県警航空隊に所属し、ヘリを操縦しているという。同課の担当者は「必要な安全対策は講じている。引き続き、県民の安全安心を守るためにヘリの安全運航に努めていきたい」と話した。
県警はヘリの不時着事故を受け、2021年4月末まで所有するヘリの運航を中止した。当時、県警はヘリ2機を運用していたが、現在は不時着したヘリとは別の1機を運用している。
県警は、事故を受け、飛行計画のチェックシートの確認事項を増やし、気象情報をより丁寧に確認することにした。シュミレーターを使った訓練の頻度を増やすなど再発防止に取り組んでいるという。(滝口信之)