浜村弘一氏の“2022年秋季 ゲーム産業の現状と展望 ~パンデミックを越えた先に芽吹くゲームの種子”リポート。任天堂は大型タイトルが今後もハードを牽引、SIEはPC展開とライブゲームに注目 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

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 2022年10月28日、『週刊ファミ通』編集長などを歴任し現在KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当シニアアドバイザーを務める浜村弘一氏がオンラインセミナーを実施した。“2022年秋季 ゲーム産業の現状と展望 ~パンデミックを越えた先に芽吹くゲームの種子~”と題した本セミナーでは、コロナ禍からロシアによるウクライナ侵攻にかけてのゲーム産業の動向をさまざまなデータにもとづいて分析。今後の展望についても語られた。

ハード、ソフトから見たゲーム市場、サービスの変化

 セミナーではまず近年のゲーム市場について言及。世界のゲームコンテンツ(ソフトウェア)市場の規模は、2021年は約21.9兆円(1ドル=100円計算)で、前年から約6%の成長が見られた。2019~2020年にかけても約30%程も成長が見られており、コロナ期間の巣ごもり需要が変わらずゲーム産業の伸張につながっていると浜村氏は振り返った。

 Nintendo Switchのピークアウトやプレイステーション5(以下、PS5)の在庫不足で、欧米市場における上半期のハードの売り上げは全体的に減少しているが、一方で2022年4~9月期の日本は微増という結果に。これについて、浜村氏はキラータイトルの影響が大きいとし、今年の上半期にNintendo Switchで発売された『スプラトゥーン3』について言及。世界的に人気の本作だが、中でも日本では特大のキラーコンテンツになっており、「記録的な滑り出しの本作が(国内の)市場を押し上げた」と述べた。



浜村弘一氏の“2022年秋季 ゲーム産業の現状と展望 ~パンデミックを越えた先に芽吹くゲームの種子”リポート。任天堂は大型タイトルが今後もハードを牽引、SIEはPC展開とライブゲームに注目

 また、国内における各ハードの累計販売台数では、Nintendo Switchが2629万3093台を記録。同じ任天堂ハードのニンテンドーDS(約3000万台)に迫る勢いとなっており、「据え置き型機と携帯機の両方のニーズを取り込んだというコンセプトが正しかった」と浜村氏。昨年から在庫不足となっているPS5については「ハードが潤沢になったら段々と変わってくるだろう」と期待感を寄せた。

 各プラットフォーマーの動きでは、任天堂が先述した『スプラトゥーン3』で3日間の売り上げ345万本と、『あつまれ どうぶつの森』を上回る記録を出しており、Nintendo Switchの売れ行きも好調だ。これまでも人気作の発売でハードの売り上げも伸ばしてきたが、今後は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(2022年11月18日発売予定)、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(2023年5月12日発売予定)などの注目作が控えており、ハードを牽引していくだろうと浜村氏は予想している。

 続くSIEはPS5の供給が足りていない中、2022年の動向として、プレイステーションプラットフォームのゲームをPCで楽しめる“PlayStation Games for PC”の拡充と、モバイルゲーム開発のSavage Game Studios買収をピックアップ。“PC展開”と“ライブゲーム”のふたつを柱に、さらなる収益を狙いつつ、プレイステーションのゲームを時間差でPC展開することで、ひと足早く最新作を楽しめる据え置き機にも興味を持ってもらおうとしているのではと浜村氏は分析した。

 また、サブスクリプションサービスの“PlayStation Plus”は、6月からオンラインマルチプレイなど従来のサービスが楽しめる“エッセンシャル”プランに加え、新たなプランが登場。PS5のゲームなどが無料で楽しめる、より高額なプランが追加されたものの、発売されたばかりのいわゆるAAAタイトルに関しては対象外となっており、ユーザーの多くがエッセンシャルプランのままという状況が続いているかもしれない、とのこと。

 対して、マイクロソフトはサブスクリプションサービスXbox Game Passが戦略の中心となっているとし、“Ultimate”のプランでは最新のAAAタイトルもリリースと同時にプレイ可能で、会員数を急激に伸ばしていると紹介。さらに、本サービスの今後注目すべきポイントとして、ライアットゲームズの参入についても言及。同社の『リーグ・オブ・レジェンド』や『VALORANT』といった、世界的人気を誇るPCゲームがXboxでもプレイできるようになるため、「かなりのインパクトになるのでは」と語った。


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PC、VR、インディーゲーム市場の新たな動きと、コロナ明けでさらに盛り上がるeスポーツ

 国内のゲーム産業における新たな動きとして、浜村氏は3年ぶりに一般公開された東京ゲームショウ2022におけるPC(Steam)関連の出展数の大幅な増加、VRやインディーゲーム関連の大規模出展が見られたことに注目。実際のところ国内でのPCゲームユーザー数は年々増えており、その理由としてPS5といったハイエンドゲーム機が入手困難で、かつそれらのソフトがPCでも遊べるようになってきていること、そしてeスポーツの盛り上がりを挙げた。さらに、2022年末ころにはSteam Deckの国内出荷も予定されており、PCゲームユーザーの増加は加速しそうとのことだ。

 VRは、東京ゲームショウ2022でも大きな注目を集めていたMeta Quest 2の価格が8月に改定されたほか、新たにMeta Quest Proの発売も発表され、22万6800円と強気の価格設定となっている。さらに2022年10月にPICO 4が発売され、2023年にはプレイステーション VR2も発売予定(※先日2023年2月22日発売予定であることが発表)。これら新型のヘッドセットとメタバースムーブメントで、2022年からVRも盛り上がりを見せるのではと浜村氏は予想している。

 インディーゲームに関しては、近年人気となった『天穂のサクナヒメ』(マーベラス)など、大手パブリッシャーの支援による作品制作の動きが見られていたが、集英社(集英社ゲームクリエイターズCAMP)、講談社(講談社ゲームクリエイターズラボ)といった出版社も同様のプロジェクトを設立。大手の作品の合間を埋めていたインディーゲームが、作品としてしっかり売り出していくようになってきているとし、その結果「パブリッシャーとデベロッパー、インディーと大手の差が希薄になりつつある」とした。


浜村弘一氏の“2022年秋季 ゲーム産業の現状と展望 ~パンデミックを越えた先に芽吹くゲームの種子”リポート。任天堂は大型タイトルが今後もハードを牽引、SIEはPC展開とライブゲームに注目

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 一方、コロナ期間で自由な海外渡航やリアルイベントが開催できず、成長が停滞気味だったeスポーツ市場は、コロナが明けてきている現状から再び成長し、世界の市場規模が2022年からの3年間で約1.3倍になるという予想も。世界トップクラスのeスポーツチームはMLB、NHLの一部チームと肩を並べるほどの企業価値を有するようになってきており、浜村氏も海外のトップチームについて「メジャースポーツに匹敵するチームになってきている」と評価した。


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 そんな状況下において、国内のeスポーツ市場もコロナ期間中は海外と同様に停滞気味だったが、2021年ごろからリアルでの大会も次第に開催されるように。2023年には世界的な格闘ゲームの祭典“EVO Japan”が復活するほか、ゲーム・アニメ・音楽などの複合型エンターテインメントイベント“DreamHack”の日本(東アジア)初上陸も発表されており、コロナ明けとともにさらなる盛り上がりと成長が予想される。


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 また世界大会では、4月に開催された『VALORANT』の大会“2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 – Masters Reykjavík”にて、日本のeスポーツチーム“ZETA DIVISION”が3位に入るという快挙を達成。この効果により、もともと国内のeスポーツタイトルでも人気が高い『VALORANT』だが、5月に行われた“RAGE VALORANT 2022 Spring”では、国内のeスポーツ有料イベントとして史上最高動員数を記録するなど、興行がさらに活気づく結果に。これについては、「日本でも有料での大規模興業が成立し始めたのでは」と分析した。


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ゲーム市場はコロナ明けの不況でも十分に成長の可能性あり

 浜村氏はゲーム産業の今後についても言及。コロナ期間中のゲーム市場は巣ごもり需要で拡大し、それにともなう仮想空間での生活やスキン販売、購入が増加するなど、ゲームのメタバース化が進んだ。しかし、コロナが明けてきた現在では、ウクライナへの侵攻による世界的規模での景気低迷の兆しがあり、ゲーム課金などにも影響が出ている可能性を指摘している。


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 一方で、現在の不況に対応するようにゲーム市場も動き出しており、そのひとつとして『オーバーウォッチ2』といった大型の家庭用ゲームタイトルの無料化を紹介。国内でも『メガトン級ムサシ』が、12月1日発売の最新作『メガトン級ムサシX』で基本プレイ無料となるほか、TVアニメも最新話放送後にYouTubeで無料配信されており、さまざまなコンテンツにおいて「(価格の)フリー化が進んでいる」と話した。

 そのほかにも、AAAタイトルのPCへの移植といった市場の拡大、広告の導入、メタバースにNFTといったWeb3の新市場と、ゲーム産業におけるビジネススキームは近年さらに多様化してきており、IPホルダーはこれらに対応していく力が求められていると浜村氏。また、インディーゲーム市場の活性化などにより存在感が増してきているデベロッパーも、IPホルダーと連携してAAAタイトルを開発していくと同時に、著作権を持つ独自のタイトルを多様化したビジネススキームに合わせて提供しはじめている状況だと分析。そして、Web3の登場により個人クリエイターたちもゲーム市場に参入しやすくなっており、ゲームやゲームパーツの制作や取引ができるようになると続けた。

 これらビジネススキームの多様化がコロナ明けの不況下においてでも、市場を押し上げる可能性は十分にあるとし、最後に浜村氏は「さらなる成長を遂げてくれるのではないでしょうか」とゲーム産業の発展に期待感を示した。

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