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東京都

 東京都労働委員会は29日、竹中工務店(大阪市)に対し、原発関連労働者ユニオン(東京都千代田区)が申し入れた団体交渉について「正当な理由のない拒否」があったと認定し、誠実に応じるよう命じた。団体交渉は、同社の二次下請けの従業員を巡るもので、直接の雇用関係がないのに認められるケースは珍しいという。

 都労働委によると、従業員は2011年10月から福島第一原発の原子炉などの工事に従事。退職後の14年に急性骨髄性白血病と診断され、労災認定された。組合は22年10月、工事現場での被曝(ひばく)管理や「危険手当」の支給状況などについて説明を求める団体交渉を申し入れたが、会社側は従業員との間で雇用関係がなかったことなどを理由に応じなかった。

 都労働委は、現場の放射線管理責任者の選任などを竹中工務店が下請け業者に任せず直接担っていたことから、「被曝労働管理などの作業環境について具体的に決定できる地位にあったので、労組法上の使用者にあたる」と判断し、団交申し入れに応じることが求められるべきだとした。一方、賃金や手当てに関しては関与した事実なかったとして、危険手当の支給については「労組法上の使用者に該当するとはいえない」とした。

 竹中工務店の広報担当者は「命令書が届いていないので内容が把握できておらず、コメントできない」としている。

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