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カトリックの神父と信徒たちが禅宗の寺院を訪ねて祈りを捧げる。そんな儀式が年に一度、厳冬期の早朝に熊本市内で行われている。何を祈っているのだろう。同行取材した。
1月30日午前5時。気温は0.7度。西区島崎2丁目にある島崎カトリック教会から、イタリア人のトゥルコ・アレッサンドロ神父(67)と男性信徒2人が歩き始めた。
「恵みに満ちた方、主はあなたとともにおられます。あなたは女のうちで祝福され……」
3人は「アベ・マリアの祈り」を唱えながら暗い道を進む。20分後、到着したのは中央区横手1丁目にある曹洞宗の禅定寺だった。
ここで信徒5人が加わった。そろって本堂に向かうと、最勝林佑信住職が「寒かったでしょう。どうぞお上がり下さい」と迎え入れた。
「殉教者 小笠原玄也外十四…