明治神宮外苑地区(東京都)の再開発をめぐり、事業者が28日にも高さ3メートル以上の樹木の伐採に着手することが関係者への取材でわかった。環境への影響を懸念する声が高まり、事業者側が伐採本数を減らすといった見直しをしていた。1年間延期になっていた再開発事業が再び動きだすことになる。
再開発計画では、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替え、超高層ビル2棟を新築する。工事に伴い、新ラグビー場の施設や聖徳記念絵画館前の敷地などにある樹木619本を伐採する予定だ。
樹木の伐採は昨年9月に予定されていたが、批判の高まりを受け、都が事業者側に伐採前に見直し計画を提出するよう要請。三井不動産などの事業者は今月21日、伐採本数を124本減らすなどした見直し案を都の環境影響評価審議会で報告し、都が問題ないとの考えを示していた。
これを受け、関係者によると28日にも現地で伐採と移植の作業に取りかかる予定という。
現場付近には25日夜、計画に反対する近隣住民らが集まっていた。住民のひとりは「いよいよ伐採が始まると思うとむなしい」と話した。
小池百合子知事は25日の定例記者会見で「事業者には都民の理解を得られるように情報発信にしっかり取り組んでいただきたい」と述べた。(中山直樹)