明治神宮外苑地区の再開発工事で、高木の伐採作業が始まった=2024年10月28日午後1時33分、東京都新宿区、長島一浩撮影

 明治神宮外苑地区(東京都)の再開発で、三井不動産などの事業者は28日、工事を進めるために3メートル以上の樹木の伐採や移植の作業に着手した。「環境破壊だ」との批判の声もあり、樹木の伐採は1年ほど延期になっていたが、伐採本数を減らすなど計画を見直したうえで工事の再開に踏み切った。

 再開発は神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を変えて建て替え、超高層ビル2棟を新築する計画。地区内にある神宮第二球場の解体は昨年3月に着工したが、音楽家の坂本龍一さんが亡くなる直前に再開発の反対を訴える手紙を小池百合子知事に送っていたことがわかり、反響を呼んだ。

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 批判が高まるなか、都は事業者に具体的な樹木の保全策を伐採前に示すよう要請した。事業者側は先月、伐採本数を当初予定の743本から619本に減らすことなどを盛り込んだ見直し計画を公表。都は「環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるとは認められない」と評価し、工事が再開されることになった。

 現地では28日、第二球場の跡地に生える約10メートルのケヤキを業者がチェーンソーで伐採。反対の声はなお根強く、敷地の外では計画に反対する周辺住民ら約40人が「伐採強行やめろ」などと抗議の声をあげた。三井不動産の担当者は報道陣の取材に「事業の意義に共感してもらうため、引き続き丁寧に情報発信していく」としている。

 工事が中断したことで、新ラグビー場の完成は2028年6月から29年12月に延期。全体の完成は36年を予定しており、スケジュールへの影響は精査中という。(中山直樹)

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