「ドリームズ(セックス・ラブ)」

 23日閉幕した第75回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞に輝いたのは、ノルウェーのダグ・ヨハン・ハウゲルート監督による「ドリームズ(セックス・ラブ)」。初恋を赤裸な手記につづった17歳の少女の揺れる心と周囲の波紋を繊細に描く。今年の長編コンペティション部門は昨年より更に地味路線が進み、こぢんまりした「身の丈」の物語が目立った。

  • 水尻監督のアニメ「普通の生活」に短編部門銀熊賞 ベルリン映画祭

 19作が競うコンペを制した「ドリームズ(セックス・ラブ)」は今年を象徴するような地味で小粒な作品で、下馬評は高くなかったが、審査員長を務めた米の監督トッド・ヘインズは「愛についての瞑想(めいそう)」「鋭く明瞭な観察と完璧な演技」とたたえた。ハウゲルートは「映画の題は『夢』だが、この賞は私の最も大胆な夢の上をゆく」と授賞式で喜びを表した。

 少女の恋の相手は女性教師で、母親は「性的児童虐待では?」と心配したり、手記を「クィア(性的マイノリティー)の目覚めが描かれている」と称賛したりするが、そこは主題とせず笑いに変える。芸術家である祖母は「虐待」の懸念を一笑に付し、主人公は人生に一度の自分だけの体験が「クィア」という枠にはめられることに反発する。

 監督は「ノルウェーやスカン…

共有
Exit mobile version