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講書始の儀に臨む天皇、皇后両陛下と長女の愛子さま=2025年1月10日午前10時36分、皇居・宮殿「松の間」、代表撮影
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 天皇、皇后両陛下が学術研究の第一人者から講義を受ける「講書始(こうしょはじめ)の儀」が10日、皇居・宮殿であった。両陛下の長女愛子さまや、秋篠宮ご夫妻と次女佳子さま、高円宮妃久子さまと長女承子さまも出席した。

 服装史学が専門の武田佐知子・大阪大学名誉教授が「古代の衣服と社会・国家・国際関係」について、国際経済学が専門の矢野誠・京都大学名誉教授が「産業革命サイクルと市場の質」について、免疫学が専門の谷口維紹・東京大学名誉教授が「サイトカインによる免疫応答の概要と科学・技術のこれから」についてそれぞれ講義を行った。

 サイトカインと総称される免疫調節分子群の研究分野で日本が世界をリードする端緒を切り開いた谷口氏は、これからの科学・技術が抱える課題についても言及した。近代以降、科学と技術が今日の繁栄をもたらした一方で、科学技術が生み出した環境問題などが地球規模で「露呈し始めている」と指摘。科学技術の方向性の軸が「物質文明の繁栄といった方向のみに強く傾き地球システムの歪曲(わいきょく)が進めば、人類社会の持続的発展にとって深刻な脅威となる」と警鐘を鳴らし、新しい時代に向け、現代文明の礎となっている価値観や価値体系を改めて検証する必要性を説いた。

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