兵庫県議会の百条委員会で、頭を下げて謝罪する維新の会の委員ら=2025年2月21日午後2時22分、神戸市中央区、添田樹紀撮影

 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告書案で、通報者を特定した斎藤知事らの初動を「公益通報者保護法に違反」とした内容に反対だった県議会第2会派「維新の会」の意見の大半が削除される見通しになった。

 複数の県議会関係者によると、21日の百条委協議会で複数の会派から維新の会の意見を報告書案から削除するよう提案があり、維新側が受け入れたという。

 百条委は21日、報告書の作成に向けて3回目の協議会を非公開で開いた。県議会関係者によると、県の元西播磨県民局長(故人)の告発文書が指摘した「七つの疑惑」や、告発者を特定した県の対応などについての各会派の評価や意見を反映して前回協議会で示した報告書の「統合案」について、表現の修正などを協議したという。

 18日に判明した報告書案では、片山安孝・前副知事らが主張する「文書配布は不正な目的」とは判断できず、外部への公益通報に当たると考えるべきだとしたうえで、通報者特定は保護法が定める体制整備義務に違反するとした。斎藤知事が「真実相当性がない」と主張してきた告発文書の内容も、パワハラ疑惑は「おおむね事実」とした。

 一方、維新が出した意見は「下記の意見もある」として「公益通報に該当するか強い疑念が生じたケースで、通報者の探索を行ったことはやむを得なかった」と記された。パワハラについても、維新提出の意見は「パワハラの認定は高度な法的知識が必要で、司法の判断によるべきとの意見もある」として付記されていた。

 維新をめぐっては、百条委の委員を務めていた増山誠、岸口実の両県議が、昨秋の知事選をめぐり、当時非公開だった証人尋問の音声データや一部の県議について「黒幕」だとする文書を、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に提供したことが発覚し、2県議は20日に百条委の委員を辞職した。ある維新関係者は「意見を言える立場ではなく、うちが折れるしかない」と話した。

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