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コメやインスタント食品、調味料などが並ぶ「みんなの冷蔵庫ちくま」=長野県千曲市
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 生活に困窮する人が必要なとき、人目を気にせず食料品や日用品を無料で受け取れる「コミュニティフリッジ(みんなの冷蔵庫)」というシステムがある。欧州発祥の仕組みで、2020年ごろから国内で広がるようになった。長野県内では初めてという施設が千曲市内にできた。

 10日、同市杭瀬下にオープンしたのは「みんなの冷蔵庫ちくま」。物価高が続く中、生活困窮者を支えようと千曲市の更埴ライオンズクラブが、事務所の一角を壁で区切った約15平方メートルのスペースに設置した。家庭で余っている食品などを持ち寄るフードドライブなどによって同クラブが調達した菓子や調味料、缶詰、カップ麺やレトルト食品、コメなどが棚に並ぶ。

 同クラブの山口和紀会長は初日のあいさつで「3年計画くらいで(仕組みを)完成させたい。きょうがスタート。関心をもってもらい、お互いさまの精神が生まれれば」と話した。

欧州が発祥で、日本には10カ所ほど

 コミュニティフリッジは直訳すれば、「地域の冷蔵庫」。同クラブによると、ドイツやスペインなどが発祥で、日本には約10カ所あり、県内での設置は初だという。

 「みんなの冷蔵庫ちくま」を利用できるのは同市在住で18歳未満の子どもがいるひとり親家庭などで、登録が必要。食料品や日用品を寄付してもらう個人や企業・団体にもプレゼンターとして登録してもらう。

 まずは第2、4日曜の午前10時~午後3時に限って利用できるようにした。食品のレパートリーを増やすため、来年度には冷蔵庫を入れ、3年後をめどに24時間365日稼働させる考えだ。利用者が自由に出入りできるカードキーも導入するという。

 子ども食堂や就労支援、障害者の相談などに携わる関係者が、運営委員会として参加する。支援を必要とする人に声かけをしてもらったり、今後の仕組みづくりなどで提言してもらったりする。

 同クラブの担当者は、フードドライブの活動などを通じて「困っている人は多い」と感じてきた。「必要なときに気軽にアクセスできる環境をつくりたい」。入り口に生活の困りごとなどを書いてもらう「自由ノート」を置き、声をすくい上げていく場にもしたいという。

 問い合わせは更埴ライオンズクラブ(026・272・4500)。

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