東京大駒場キャンパス正門前で行われた、パレスチナに連帯する学生たちのリレートーク=2024年5月16日午後7時15分、東京都目黒区、平賀拓史撮影

 パレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエルの攻撃に対する大学生の抗議運動が米国各地のキャンパスに広がり、欧州、そして日本の大学にも及んでいる。1990年代後半以降に生まれたZ世代と呼ばれる若者たちの動きは、社会運動の新たな転機になりうるのか。

 米ニューヨークのコロンビア大で学生らがキャンパス内にテントを張り座り込みを始めたのは、4月17日。翌日、学長の要請を受けキャンパス内に入った警官隊が100人以上を逮捕したが、運動は全土に波及した。イエール大や西海岸のスタンフォード大でもキャンプが設けられ、各地で多くの逮捕者を出しつつも運動が続いている。

 学生たちは、イスラエルやそれを支援する米政権への抗議のほか、大学が運用する基金の投資先を開示し、イスラエルの軍需産業に関連する企業への投資をやめる「ダイベスト」などを訴えている。「秩序が優先されるべきだ」と運動を批判したバイデン大統領への抗議の声も上がり、今年の大統領選に影響する可能性も取りざたされる。

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 こうした動きは米国のみならず、欧州の大学でも拡大。先月末から日本でもキャンプを設営する動きが見られはじめている。

 東京大では4月末から、キャンパス内のテントで学生が泊まり込みを始めた。パレスチナ問題に関する読書会を開いたり、大学に対してイスラエル軍需産業に関わる企業との協力関係があるかどうかを明らかにし、あれば関係を絶つよう求めたりしている。

 5月16日夜には集会を開き、東大のほか早稲田大、国際基督教大など首都圏各地の大学から集まった学生ら約150人が「日本の大学、沈黙するな」「フリー、フリー、ガザ」(ガザに自由を)などと声を上げた。

 2022年にロシアのウクライナ侵攻が始まった際は、侵攻に抗議する声明を東大をはじめ各地の大学が出した。一方、ガザでの武力衝突に対しては、開始から半年以上が経った現在でも、同様の声明を出した大学は限られる。キャンプに参加する東大生の一人は「ダブルスタンダードだ」と憤る。

記事後半では、抗議活動に見られるある特徴や、60年安保や全共闘などの従来の学生運動との違いを、専門家や当事者世代が指摘します。

 運動は各地の大学キャンパス…

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