植物学者の牧野富太郎博士(1862~1957)が明治時代に発表後、国内では確認されていなかった桜の品種「八重彼岸」が、富山・岐阜県内で見つかった。富山県中央植物園(富山市)などの研究で判明した。よく似た別の品種と混同し、気づかないまま各地で栽培されている可能性があるという。

 研究したのは、同植物園企画情報課長補佐の大原隆明さんと、「とやまさくら守の会」の八木秀治さん。2017年春、桜の保全活動に携わる八木さんが、地元の黒部市で見慣れない花が咲いていることに気づき、大原さんの元に持ち込んだことがきっかけだ。

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八重彼岸の花=富山県中央植物園提供

 コヒガンザクラの一品種「八重紅彼岸」に似ているようで違う、と話し合っていたところ、富山市の富岩運河環水公園で同じ桜を見つけた。さらに、大原さんが岐阜県を車で通った際にも偶然見つけ、計3カ所の個体を「不明品」として18年から調べた。

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富岩運河環水公園に植えられている八重彼岸=富山県中央植物園提供

 桜の分類が専門の大原さんは…

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