公正取引委員会

 山形県などが発注する畜産の牛・豚用ワクチンの入札で談合を繰り返したとして、公正取引委員会は30日、動物用医薬品などの卸会社3社の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、うち2社に排除措置命令と計約500万円の課徴金納付命令を出す方針を固めた。関係者への取材でわかった。

  • 【図】日本郵便、違約金見直しの裏側 内部文書を入手「外部機関との調整」

 3社はアグロジャパン(新潟市)、小田島商事(岩手県花巻市)、MPアグロ(北海道北広島市)。MPアグロは課徴金減免制度(リーニエンシー)を使って調査開始前に違反を申告したとみられ、処分を免れる見通し。公取委はすでに処分案を通知し、各社の意見を聞いた上で結論を出す。

 関係者によると、ワクチンは家畜伝染病の豚熱用などで、各社は遅くとも2020年度以降、山形県と同県畜産協会が発注した牛・豚用ワクチンの入札で、事前に受注企業や受注価格を決める談合を繰り返していたという。公取委は昨年10月、3社がワクチン価格の下落を防ぎ、利益を確保するために談合を繰り返したとみて、立ち入り検査をして調査を進めてきた。

 山形県の畜産は「米沢牛」などのブランドで知られる。農林水産省の畜産統計(24年2月現在)によると県内の飼養頭数は牛5万2860頭(全国19位)、豚15万9900頭(同17位)。農水省によると、豚熱は18年に国内で26年ぶりに発生し、23年9月までに36万頭以上の豚が殺処分された。ワクチン接種は19年から始まった。

共有
Exit mobile version