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御嶽山が噴火したとき、田幸秀敏さんのリュックに入っていた鍋。噴石が当たった衝撃で、底がへこんでいた=2014年10月25日午後3時13分、田幸さん提供
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 63人の死亡・行方不明者を出した御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害で、火山灰に埋もれた友人を山頂に残して下山せざるを得なかった男性がいる。あの時、何かもっとできたのではないか。罪悪感に近い感情を抱えつつ、男性は「遺族の皆さんのためにできることをやっていく」と話す。

 セイコーエプソン社員の田幸秀敏さん(50)=長野県茅野市=はあの日、同じ会社で働く友人2人を誘って御嶽山へ登山に訪れた。山頂の剣ケ峰でそれぞれ別れて風景の写真を撮っていた時だった。

 不気味な低音が聞こえ始めた。神社の社務所の方を振り返ると、黒い噴煙が立ち上っていた。

噴煙と地鳴り、噴石が肩を直撃

 パラパラと火山灰が降り始め…

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