秋冬の場面が描かれた源氏物語図扇面貼交屛風の右隻と小林暢善住職=2024年10月26日午後2時41分、広島県尾道市東久保町、菅野みゆき撮影

 広島県尾道市東久保町の浄土寺が所有する「源氏物語図扇面貼交屛風(はりまぜびょうぶ)」が4日まで同寺で特別公開されている。屛風は米・ニューヨークのメトロポリタン美術館での展示を機に、研究のため東京国立博物館に寄託されており、地元での展示は6年ぶりとなる。

 1隻が縦155センチ、横365センチの六曲一双の屛風に、源氏物語の場面を詞書(ことばがき)と共に描いた扇絵60枚が春夏秋冬の順で貼られている。市重要文化財に指定されており、中でも「浮舟」「夕顔」の場面を描いたものは日本最古とされる。

 いつ、どんな経緯で浄土寺にもたらされたのかは不明だが、研究では、室町時代後期に土佐派の絵師が描いたとされている。源氏物語の作者の紫式部がNHK大河ドラマの主人公として取り上げられるなど源氏物語への興味が高まっており、里帰り公開となった。

 小林暢善住職(72)は「交易で栄えた尾道の商人は文化人でもあり、資金を寺社の造営や芸術につぎ込んだ。そのような町の豊かさを現代にも伝えたい」と話す。

 午前10時~午後4時半(受け付けは午後4時まで)。一般1500円、大学・高校生500円、中学生以下無料。問い合わせは実行委員会(084・930・4227)。(菅野みゆき)

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