液体水素の補給を受ける車両。円筒型の貯蔵タンクから液体のまま供給される=2024年10月24日、愛知県刈谷市、大平要撮影

 岩谷産業が運営する愛知県刈谷市の水素ステーションで24日、タンクに貯蔵した液体水素をそのまま自動車に補給する実験が行われた。今は液体を気体に変えてから補給するのが一般的だ。実用化できれば、ステーション整備の初期投資を抑えられる利点がある。

 岩谷とトヨタ自動車が、共同で実験した。トヨタは液体水素を使うエンジン車を開発し、2023年からレースに投入。将来の市販化を目指している。

 実験では、このレース車両を持ち込み、約3分かけてタンクを満タンにした。「まずは安全性を考え、レースよりは時間をかけたが、うまくいった」(トヨタの担当者)。

 現在市販されている燃料電池車(FCV)では、高い圧力をかけて圧縮した気体の水素を車のタンクに詰める。多くのステーションでは低温状態で液体化した水素をタンクに貯蔵している。このため、ステーションには、気化機や圧縮機、高圧畜圧機など大がかりな専用の設備を置く必要がある。

液体水素、市販車はゼロ

 岩谷とトヨタは、貯蔵タンク…

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