海草「ウミショウブ」の白い小さな花が、夏の日差しに照らされた海面を走る。沖縄県西表島の夏の風物詩といえるこの光景がほとんど見られなくなっている。

開花したウミショウブの雄花=2024年7月6日、沖縄県竹富町の西表島、環境省提供

 今年7月、島東部の浅瀬で環境省西表自然保護官事務所の上森沙恵さんが撮影に成功した。雄花は海中で株から切り離されると、海面に浮き上がって花弁が反り返り、3ミリほどの雪だるまのような形に。風に身を任せて海面を滑り、雌花をめざす。「以前は海で泳ぐとウミショウブの葉が足に絡まることもあったが、今では限られた場所でしか見られなくなった」

 減少の理由は、増加したアオウミガメによる食害だ。かつては乱獲や環境悪化で減少したが、産卵地の保護活動が活発になり、個体数の増加につながったとみられる。

 島南西部の崎山湾では約24…

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