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2006年夏の全国選手権大会決勝で、最後の打者・駒大苫小牧の田中将大選手(右)を三振に打ち取り、ガッツポーズをする早稲田実の斎藤佑樹投手
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 夏の全国高校野球選手権大会に1915年の第1回大会から出場している早稲田実(東京)が初優勝したのは、2006年の第88回大会だった。エースの斎藤佑樹(元日本ハム)が投げきって、引き分け再試合を制した。

 チームを率いる和泉実監督(63)は「とにかく優勝旗を取って帰るぞ」と選手に語りかけたという。その狙いとは。

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選手も頭を鍛えて試合に臨むべき

 高校野球の試合は本来、選手のものであるべきだという気がしています。

 もちろん監督がサインを出してゲームをつくることも多々あるけれど、監督がいなくても試合が進むようなチームが理想なのではないかと思うこともあります。

 初優勝した第88回の全国選手権大会でも、監督の個人的な作戦なんて、見透かされているようでした。

 上の試合に行けば行くほど選手は成長していますから、選手同士の1対1の戦いでした。斎藤は相手打者を見透かしたように投げていました。田中将大投手(現楽天)もそう。こちらが仕掛けようとしたスクイズを見ぬいているようでした。

 今の高校野球には、選手は球を速くするとか遠くへ飛ばすとか、そういう技術を磨き、作戦面は監督に任せるという風潮がある気がします。

 でも、私は高校野球も選手が頭を鍛えて試合に臨むべきだと考えてきました。

 正解は分かりませんが、うちはそんな風にやってきて、あそこで優勝できた。だから「俺はこれで行こう」と思っています。

 ただ、試合前は私も動きました。

 春の選抜大会8強のチームで…

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