投手に声をかけてホームに戻る神村学園の藤田侑駿捕手=2024年4月24日午前10時45分、佐賀市のさがみどりの森球場、宮田富士男撮影

 第154回九州地区高校野球大会第5日(九州地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は24日、佐賀市のさがみどりの森球場で準々決勝の残り3試合があり、4強が出そろった。今春の選抜に出場した神村学園(鹿児島)は大分に競り勝ち、同じく選抜出場組の明豊(大分)は芦内澄空(そら)の決勝2ランで佐賀北を破った。鹿児島実は選抜に出場した熊本国府を3投手の継投で零封した。25日は休養日。準決勝は26日に行われる。

 (神村学園4―3大分)

 「行ったぞ!」

 1点リードで迎えた八回表の守り。神村学園の捕手藤田侑駿(3年)はベンチからの声で、一塁走者が二盗を狙いスタートを切ったと気付いた。素早く二塁に送球すると、タッチアウト。相手の好機の芽をつんだ。

 声で助けてくれたのは木下夢稀(3年)。正捕手だが、22日の大牟田(福岡)戦で左肩を脱臼し、欠場することに。藤田はこの日の朝、監督から「キャッチャーを頼む」と告げられ、公式戦で初めてマスクをかぶった。普段は別の守備位置での出番が多いが、1年生の頃から毎日、グラウンドに一番乗りして鍛えた守備力の高さを買われた。

 実際にポジションに座ると、難しさに気付いた。配球や守備位置の指示、走者への警戒。マスクで視野も狭い。八回の盗塁も自分では気付いていなかった。

 仲間の支えで何とか守備の要を務め、チームのピンチを救った。「木下が戻るまで、自分が守り抜く」と誓った。(太田悠斗)

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