秋の関東大会で17年ぶり4度目の優勝を果たし、喜ぶ横浜の選手たち

 (4日、高校野球 秋季関東地区大会決勝 横浜4―3群馬・健大高崎=延長十回タイブレーク)

 関東王者を決める一戦の勝敗を分けたのは、バントの成否だった。

 七回に横浜が2点差を追いつき、決着は延長タイブレークへ。無死一、二塁から始まる十回表の守り。健大高崎の先頭打者が試みたバントを、一塁手が迷いなくさばき二塁走者を三塁で封殺した。犠打と申告故意四球で2死満塁とされたものの後続を断ち、無失点にしのいだ。

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 その裏の横浜の攻撃は、2番為永皓から。前の打席で適時二塁打を放ち打力に自信のある為永は、犠打のサインに一球で応えた。三塁線に転がして1死二、三塁を築く。3番の奥村凌大は「条件は整った」と集中した。

 バットを指3本分短く持つ。内角直球に詰まらされながら、ふわりと上がった打球は二塁手の頭上を越えて落ちた。サヨナラ勝利で、17年ぶり4度目の関東制覇を決めた。

 仲間に抱きしめられた奥村凌は「もう最高でした。夏以降、関東制覇だけを目標にやってきた」。

 横浜の前評判は高い。夏の神奈川大会を「2年生主将」として引っ張った外野手の阿部葉太を筆頭に、奥村凌や為永ら、先発オーダーの半数が前チームの主力だった。

 今夏は神奈川大会の決勝で涙をのんだが、その分公式戦の経験値を積んだ。今大会は初戦の東農大二(群馬)を2―0で下し、準決勝の浦和実(埼玉)には3―2で逆転勝ち。決勝を含め、勝負強く接戦を制した。

 一方、優勝を逃した健大高崎の選手は涙に暮れた。「横浜高校さんは攻撃も守備も隙がなかった」。敗れた健大高崎の青柳博文監督は試合後、そう相手をたたえた。

 横浜の村田浩明監督は相手チームに感謝し、こう明かした。「(今春の選抜大会で)全国優勝した健大高崎さんを見習っているんです」

 「戦い方を見ていると、4番でも何番でもバントをしている。うちもマネというか、そこの感覚がないとチームにはならないし、めざしているところには行けない。そう主将の阿部にも言っています」。

 この日横浜は中軸を含め、チームで3犠打を決めた。関東のライバルから学びを得て、つかんだ頂点。優勝候補の一角として、20日開幕の明治神宮大会に挑む。(大宮慎次朗)

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