東京電力福島第一原発の廃炉に向けた「本丸」とされる燃料デブリ(溶け落ちた核燃料)の試験的取り出しが、初日からつまずいた。作業手順を間違えるという単純なミスが原因だった。福島県は22日、「管理体制に問題があるのではないか」と、東電の組織そのものを厳しく批判した。
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デブリの試験的取り出し作業が延期になったことを受け、県危機管理部の伊藤繁・政策監が県庁で、東電福島第一廃炉推進カンパニーの高松樹・シニアバイスプレジデントに「同様のミスを二度と起こさないように」と求める申入書を手渡した。申入書では「重要な作業でありながら、今回の中断は初歩的なミスで、県民に大きな不安を与えかねない」と指摘した。
手渡す前に、伊藤政策監は「昨年10月以降、いろいろなトラブルが発生している。作業管理の体制に問題があると思っている」と言及。そのうえで「デブリ取り出しは県民が大きな期待を寄せている。注目される作業なので、それなりに相当な時間をかけて準備したと思う。確認作業に抜けがあるのではないか」「そこが弱いと気づいて対策を講じていると思うが、一つ間違いが起きると大きな影響が起きかねない」と、依然として組織的な問題があるのではないかと指摘した。
これに対し、高松氏は「反論の余地もない。二度とこのようなことが起きないようにしたい。県民に心配をかけて申し訳ない」と謝った。
東電、前日には「準備が整った」と説明も……
高松氏はその後、報道各社の取材に応じ、「最初の段階でつまずいたことは、情けない」と話した。
東電は21日の会見で「使用する機器の点検を行い、作業手順の確認を実施してきたが、本日準備が整った」と説明。22日の作業では、燃料デブリを回収する装置が格納容器への通り道にある「隔離弁」に2時間ほどで到達するとの見通しを示していたが、その前に作業を中断した。(岡本進、滝口信之)
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