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東京科学大の学長に就任する田中雄二郎・東京医科歯科大学長=2024年9月、東京都文京区
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 10月1日、東京医科歯科大と東京工業大が統合して「東京科学大」が誕生した。どんな大学をめざすのか、どんな学生に来て欲しいのか、東京大はライバルなのか……。初代学長(大学総括理事)に就いた、田中雄二郎さん(70)=東京医科歯科大前学長=に聞いた。

 ――理事長として東京科学大の経営を担うことになった大竹尚登さん(60)=東工大前教授=から、学長への就任を要請されました。率直な思いを聞かせてください。

 「医科歯科大の学長を4年半務め、コロナ対応や統合に携わってきた経験から、理事長には大変な負荷がかかると想定していました。また、両方を詳しく知っている人もいませんから、理事長とは逆の大学出身者が学長を務め、統合の経緯を知る人が担うのが良いと、理事長選考の過程で、私がそのように提案していました。案が採用されて良かったと思います」

 「一つの国立大で理事長と学長を別に置くのは初の試みです。1学年の学生が1300人となる大学、名称が変わって誕生する東京科学大学病院、大きな事業を担っていくことになります。大竹理事長とは連絡を密にして、討論ではなく対話によって建設的に良い案を生み出していきましょう、と話しています」

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 ――学長は教育と研究を担います。高い教育力、研究力を求められますが、どんな戦略をお持ちでしょうか。

 「統合後は予算規模で国内7番目の国立大となります。理工学系、医歯学系の交流が進んで、壮大な化学反応が起きるようにしたいと考えています。その触媒という意味でも(国から相当な額の支援が受けられる)国際卓越研究大学に申請したいと思っています」

 「10月からは基礎研究、社会課題の解決、産学連携の三つを柱に、両大学の研究機能を再編します。学部教育では、将来的に医歯学系の学生と理工系の学生が同じキャンパスで一緒に教養課程を学べるようにするなど、大学の価値として、人と人がつながるネットワーキングを重視したいと考えています」

MITに聞いた

 ――米マサチューセッツ工科大(MIT)や英インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)など世界最高峰の理系大学を目標としています。最高峰とは距離がありますが、どう埋めていきますか。

 「特定の大学をモデルにはしませんが、学べることはあります。MITの前学長に話を聞くと、やはり力を入れているのは工学と生命科学の連携です。新大学でも10月1日、医工連携を進める医療工学研究所という組織をつくります。工学部の研究者が、大学病院のある御茶ノ水でも実験室を持てるようにしたいです」

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 「ICLは工学部と医学部、ビジネススクールという構成で、首都にある点も東京科学大と似ていて参考になります。学生3人が1年間、ICLで学べるプログラムを今年から始めました。経済的な負担がないよう奨学金も支給しています。アジアで唯一、世界大学ランキングトップ10に入ることもあるシンガポール国立大も手本にできると思います」

 「本学の歯学部は、領域別の世界大学ランキングで5位以内に入り、国内の大学のあらゆる研究領域で最高の評価を得ています。アジアから多くの留学生が学びに来て、いま世界中で活躍していることの影響が大きいです。新大学に対しても国外の大学から連携のコンタクトがもう寄せられています。注目に応える成果を出せるようスタートダッシュを切りたいと考えています」

入試のあり方変えたい

 ――首都圏で理系をめざす受験生にとってはこれまで以上に東京大との比較の対象になりそうです。科学大の強みは。

 「東京大学の藤井輝夫総長…

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