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政治学者で学習院大学教授の野中尚人さん=東京・目白の学習院大学、池田伸壹撮影

 予算案や法案は与党が事前チェックし、国会で課題が指摘されても修正せず「数の力」で成立させる――日本で長く続いてきた慣習だ。だが、少数与党で迎えた昨年の臨時国会では補正予算が修正の上で可決された。24日からの通常国会を前に、政治学者の野中尚人さんに聞いた。日本の国会、変われますか。

 ――昨年の暮れの臨時国会では、政府の予算案が28年ぶりに修正されました。どのように評価していますか。

 「もったいなかったですね。日本の国会が、本来あるべき機能を取り戻し、国際標準レベルの審議を行えるきっかけになる可能性もあったんですが」

 「与党と、予算案の賛成に回った国民民主党などとの政策協議は非公開で行われ、国会という場で説明責任を果たすような動きにはなりませんでした」

 ――日本の国会審議は、国際標準とは異なるのですか。

 「1955年の保守合同で自民党や55年体制ができて以来、日本の予算案や法案は基本的に政府が与党の事前審査を受けて提出してきました。特に与党議員には賛否を縛る党議拘束もあり、いったん国会に提出するとめったに修正されず、審議が尽くされていなくても半ば自動的に可決されてきました。そうした自国の国会のあり方については知っていても、それが世界の民主主義国と比べてどうなのかは、国会議員や官僚もあまり知らないのではないでしょうか」

 「たとえば、国会の本会議は日本では年60時間ぐらいしか開かれませんが、欧州諸国の議会では年1000~1200時間が標準です」

 ――日本の20倍とは……驚きです。

 「ほら、そう感じるあなたも…

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