モンドセレクション金賞を受賞したニンジン焼酎「へべれけ」
  • 写真・図版

 埼玉県朝霞市産のニンジンを使った焼酎「へべれけ」が、世界的な食品品評会「モンドセレクション」で金賞を受賞した。「朝霞の特産品をもっと楽しんでほしい」と地元農家の相沢敦さん(45)が企画した焼酎だ。

 システムエンジニアだった相沢さんは、5年ほど前に妻の実家の農家を継いだ。朝霞は県内有数のニンジン産地で、相沢さんの畑でも年間40~50トンのニンジンを生産している。

 たまたま訪れたスーパーで、地場産のニンジンの存在感が小さいのにショックを受けた。「ニンジンは朝霞の特産品なのに、スーパーで山積みされていたのは千葉産だったんです」。ニンジンのまち朝霞を楽しんでもらいたいと、焼酎の生産を思いついた。

 原料は3月にとれる甘みの強いニンジン。生産を委託している蔵元では、ジュース状にしたニンジンをアルコール発酵させ、蒸留してびんに詰める。2021年秋に試作品が完成し、蒸留の温度を変えるなど味を進化させてきた。販売開始から2年目でモンドセレクションに挑戦し、「金賞」を受賞した。

 5月15日には朝霞市役所を訪れ、富岡勝則市長に受賞を報告した。昨年仕込んだのは、4合びん約2千本分。富岡市長が「その量では商売にならないのでは」と尋ねると、相沢さんは「まずは朝霞のニンジンを楽しんでもらいたい」と笑顔で返した。

 「へべれけ」という商品名は、朝霞の人たちに地元で飲んでもらいたいという思いから名付けたという。「地元で飲むんだから、多少酔ってもいいじゃないかという遊び心です」

 1本1650円(税込み)。問い合わせは、相沢さん(090・2634・5454)。(抜井規泰)

共有