12月1日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さんです。☆は共選作です。
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馬場あき子選
新藁の敷かれし牛舎喜びの牛の動きで匂ひふくらむ(厚木市)北村 純一
平年より冷ゆる立冬トランプの赤き野球帽高笑ひせり(枚方市)鍵山奈美江
華やかに歌と三線(さんしん)響かせる我は琉球舞踊の地謡(じうてー)(横浜市)水谷 亮介
コーラスの先生愉快に繊細にレッスン進める大阪弁で(京都市)有賀 香
りんご園で採りし蜂蜜寒き夜に白湯を注げば花の香微(ほの)か(五所川原市)戸沢大二郎
ひよいと来て城案内をせし忍者手袋探しにつき合ひくれたり(鶴岡市)大沼二三枝
闇バイトの少年三人首都圏にとほい光市で捕らへられたり(岩国市)木村 桂子
☆「妹はおなかに居たの」と姉は言う戦死の父持つ同士の哀(あわ)れ(飯田市)草田 礼子
☆姉と外で飲むのもいいな特別で大事な話もあるらしいから(富山市)松田 わこ
抱っこしていいかと聞けば幼子は碧(あお)い地球の瞳(め)をして笑(え)まう(春日井市)望月 恵美
【評】第一首は牛舎に新藁を敷き入れた日の牛の表情が生き生きと伝わる。牛が藁と触れ合う動きとともに新藁の匂いが広がる。第二首の勝ち笑いの表情をみる思いはさまざま。第三首、第四首、それぞれの秋の音楽の交響を感じさせる。
佐佐木幸綱選
三連休三日目午前十一時液体…