27日放送の「アンメット」第7話から。杉咲花(右)と若葉竜也=関西テレビ提供

 各テレビ局で放送中の春の連続ドラマ。「試写室」などを執筆する放送担当記者が各作品を見比べて、これぞと思ったものに投票し、結果をもとに語り合った。芸能界で大きな出来事が続き、取材に追われてお休みしていたドラマ座談会、久々の開催です。

アンメットは「単純に次が見たい」

 滝沢 まず、1位は「アンメット」。事故で過去2年の記憶を失い、新しい記憶も1日で忘れてしまう脳外科医・ミヤビ(杉咲花)の勤務先に、米国帰りの脳外科医・三瓶(若葉竜也)が現れて、徐々に空白の期間の出来事が明らかになっていきます。5人中4人が上位で推しました。

 宮田 「若葉竜也を見るドラマ」だなと思います。抑揚がないのに感情が伝わってくる話し方がまたよくて。かなりのハマり役じゃないですか。杉咲花さんの主人公感もいいし、泣けるシーンも多い。それぞれの生き方とか、失語症など障害や病気の症状など丁寧に描いている。単純に次が見たいと思えるし、人に勧められるドラマですよね。

 滝沢 若葉さんは、「こういう医者いそう」っていうリアリティーもありつつ、見守っていたくなるような魅力もあるんですよね。テーマとしては、「自分とは何か」ということを考えさせられる内容です。

 堀越 ミヤビは毎日日記をつけていて、朝はそれで昨日までの自分を確認してから始まる。「自分」というものは、過去の一日を積み上げて、できているんだなと感じました。全体的に静かでテンポもゆっくりだけど、かめばかむほど味が出る。若葉さんはもちろんですが、ミヤビの恩師で主治医役の井浦新さんもいい。

 岩本 麻酔科医を演じる野呂佳代さんも光っています。AKB48のアイドル時代から見ているけど、いわゆる演技派俳優たちにも全然負けていないです。

 滝沢 杉咲さんのアップで、そばかすが映るのも私はいいと思いました。人柄が伝わってくるというか。

 宮田 文学賞の選評なんかでよくありますけど、「人間が描けている」ドラマですよね。

 滝沢 2位になった「燕(つばめ)は戻ってこない」は、代理出産がテーマ。地方出身の派遣社員のリキ(石橋静河)が、同僚から卵子提供で金を稼ごうと誘われることで、物語が動き出す。全員がベスト5に入れました。

 照井 「代理母」という重いテーマを設定していて、その重さに負けていないですよね。貧困の描写も丁寧です。リキを卵子提供に誘った同僚のテル(伊藤万理華)は、ヒモの彼氏に夢中。リキは「バカだ」と言うけど、彼女なりの考えも分かる。テル役の伊藤さんの演技力が説得力をもたせています。出てくるのがひどい人ばっかりで、次はどうなるのかという下世話な関心も。

 堀越 私も1位に推しました。子どもを持つかどうかなど、身近な話とつながっています。

突き抜けて重いとアリ?

 滝沢 これを見てしまうと…

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