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国際通貨基金(IMF)の年次総会のイベントで対談する日本銀行の植田和男総裁(右)=ワシントン、杉山歩撮影

 日本銀行の植田和男総裁は23日、米ワシントンで国際通貨基金(IMF)の年次総会の対談イベントに登壇した。2%の物価上昇の持続的な達成には「なお時間がかかる」などと語り、現在も緩和的な状況が続いていると強調した。

 登壇したのは、各国の中央銀行総裁らが対談形式で自国の経済や金融政策について語るイベント。植田氏は「日本のインフレと金融政策はどうなっているのか」と題して、IMFアジア太平洋局のクリシュナ・スリニバーサン局長と対談した。

 植田氏は3月の大規模な金融緩和からの転換や、7月の追加利上げの背景を説明。金融政策の正常化で得られた教訓について問われると、「教訓を出すにはまだ早い」としつつ、長期金利をゼロ%程度に抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を徐々に柔軟化させてからマイナス金利の解除に動くなど、段階的に正常化を進める方法は「成功した」と語った。正常化に際して基調的な物価上昇率が緩やかに上がったことが「幸運だった」とした。

 7月末に追加利上げを決めた…

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