MBCニュース | グランピングにカフェも…民間のノウハウで変わる鹿児島の県立公園

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グランピングにカフェも…民間のノウハウで変わる鹿児島の県立公園[02/01 19:04]

豪華なキャンプを楽しめるグランピング施設やおしゃれなカフェ。鹿児島県立の公園で、広場や子ども向けの遊具といった従来の園のイメージを覆す新たな設備を整備する動きが相次いでいます。どうしてなのか?取材しました。

(記者)「桜島を一望できる鹿児島市の吉野公園。園内を歩いていると、白いドームがあります。実はこの場所、県立の公園としては初めてのグランピング施設なんです」

鹿児島市北部にある県立吉野公園。およそ30ヘクタール、白波スタジアム10個分の広大な敷地に遊具や広場などがあります。園の北側にある駐車場で現在整備が進むのが、県内に9つある県立公園で初となるグランピング施設です。

(南国交通グランピング事業課 今森美也子さん)「(Q.グランピング施設はどんな施設?)全部で8棟。ドーム型テントが3棟、キャビン型が5棟。それぞれ島々をイメージした施設」

グランピング施設「YOSHIZORA」にはドーム型テント3棟と平屋のキャビン型5棟があり、それぞれ最大5人まで宿泊できます。桜島を見ながらバーベキューなどを楽しめます。

(来園者)
「興味はあるので利用したい」
「遠くから来る人に吉野公園を知ってもらえるし、桜島もよく見えるし、場所は良い」

(南国交通グランピング事業課 今森美也子さん)「密を避けた安心・安全が求められるという発想から、アウトドア人気に着目してグランピング事業をすることになった」

施設を運営するのは南国交通です。公共施設をより効率的に管理・運営するために民間事業者などに代行してもらう指定管理者制度で、2006年度から吉野公園を運営しています。

ただ、新型コロナの影響で入園者は減っていて、過去10年間は年間40万人台から50万人台で推移していましたが、コロナ禍の2020年度と2021年度はおよそ32万人にまで落ち込みました。
そうした中で県は民間の発想を取り入れてより質の高い公園を目指そうと、昨年度から「自主事業」をスタート。指定管理者が自らの予算で新たな事業を行うことができるようになったのです。

そこで南国交通が計画したのがグランピング施設の整備。昨年度の県からの管理費はおよそ6000万円ですが、その5倍、総事業費およそ3億円を自ら計上して整備を進めています。今年のゴールデンウィーク前にオープン予定で、入園者数の回復、さらには地域活性化の効果も期待されています。

(県立吉野公園管理事務所 上原哲郎所長(南国交通))「宿泊事業に挑戦することが初めてなので、課題も多い。地域の人や団体と連携しながら、吉野地区を盛り上げていきたい」

「自主事業」の取り組みはほかの県立公園でも。

(県造園事業協同組合 有村勝則理事長)「(Q.何階建ての建物?)2階建て。来てくれる人が誰でも利用できるつくり」

鹿児島市南部、南北およそ4キロに広がる谷山緑地です。14の区画に遊具や休憩所などがあり、指定管理者の県造園事業協同組合などが運営しています。
ここで「自主事業」として計画されているのが、若い世代の集客力があるカフェ。店内におよそ20席、外にはウッドデッキを備えた2階建ての店舗を南栄1丁目の区画に整備し、今年3月から4月にかけてオープンさせる計画です。

(県造園事業協同組合 有村勝則理事長)「県の公共予算を使わず民活で施設更新を行うのが、自主事業の最大のメリット。若い人たちが来られるようなにぎわいのある公園にしたい」

県内ではこのほか、鹿児島市の石橋記念公園では結婚式の前撮り、南さつま市の吹上浜海浜公園ではユニークな形をした自転車のレンタルなど、それぞれの県立公園の特色をいかした「自主事業」が始まっています。

(県都市計画課 喜元亨課長)「公園に来ていない人たちが新しい施設ができて来てもらうこと。県立公園を核としたイベント開催が地域の活性化にもつながっていく」

こうした「自主事業」の取り組みは、地域も巻き込むことでより大きな効果につながると経済の専門家は話します。

(九州経済研究所 福留一郎・経済調査部長)「地域全体でイベントを行うなど盛り上げると、地域住民ともいい関係ができる。そうすると県外からの客をたくさん呼び込めるきっかけになる。短期の収益事業も大事だが、中長期的に利用できる公園を作り上げることが必要」

民間のノウハウを取り入れて生まれ変わろうとしている県立公園。その動き、は新たな施設のオープンが相次ぐこの春から本格化します。



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