東京都23年度予算案 賢い支出で街づくり進める:東京新聞 TOKYO Web

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23年度当初予算案を説明する小池百合子知事=都庁で(都提供)

 東京都が二十七日に発表した二〇二三年度当初予算案は過去最高の税収を見込み、一般会計も八兆四百十億円で過去最大となった。初の八兆円超えに、小池百合子知事は「ワイズスペンディング(賢い支出)で、将来に向けた街づくりをしっかり進めたい」と語った。少子化対策や脱炭素化に巨費を投じる一方、新型コロナウイルス対策費は大幅に削減。今後の感染状況次第で、歳出総額は増える可能性がある。(沢田千秋、三宅千智、鈴鹿雄大)

◆少子化、脱炭素増 コロナ大幅減 

■歳入

都税収入は前年度当初比五千七百二億円(10・1%)増の六兆二千十億円。このうち、柱となる法人二税(法人事業税、法人住民税)は、前年度比15・4%増の二兆二千八十九億円。

 東京強靱(きょうじん)化推進基金(仮称)、社会資本等整備基金など特定目的基金からは四千八百六十七億円を取り崩す。財政調整基金の残高は五千九百九十一億円を確保している。

 都債の発行は、前年度比三十八億円減の二千九百八億円に抑制。このうち、環境改善や社会問題解決を目的とした「ESG債」は一千億円程度を発行する。起債依存度は3・6%で、前年度の3・8%から低下。国(31・1%)や地方(7・4%)に比べ、低水準を維持した。都債残高は四兆八千三百十四億円。

 一つ一つの事業のコスト分析や有効性などを検証する「事業評価」によって、千百四十一億円の財源を確保し、過去最高の六百十五件の新規事業につなげた。

■歳出

公債費などを除いた一般歳出は五兆九千三百五十四億円で前年度比1・6%増。このうち給与関係など経常経費を除いた投資的経費は一兆二百七十五億円。

 目的別では、新型コロナ対策を除く「福祉と保健」が、出産、子育て支援などで、一般歳出の25・9%に当たる一兆五千三百八十四億円。次に多いのは「教育と文化」で、英語教育などに一兆一千九百八十億円を計上し、20・2%を占める。太陽光発電の普及経費などを含む「生活環境」は、前年度比33・1%増の三千二百五億円となった。

 二三年度当初予算案は、前年度当初に約三千六百億円を盛り込んだ新型コロナ特別対策費を一切計上しなかったにもかかわらず、子育てや脱炭素化の予算を大幅に増やしたため、過去最大規模となった。都は新型コロナ費は二月に追加補正予算案として要求する方針。予算案説明の場で、報道陣から「予算を小さく見せたいからか」との質問が飛んだ。都財務局の担当者は「今、必要なやらないといけないことをしっかりやる」と応じ、否定した。

◆私立中・都立大生にも支援

■主な事業

 新規事業は過去最高の六百十五件。最重点を置く子育て支援は、約一兆六千億円をあてる。中でも、十八歳以下への月五千円の給付には千二百六十一億円を計上し、新規事業の中で最高額となった。

 他にも、第二子の保育料無償化に百十億円を支出。都議会自民、公明が予算案の知事査定後に要望した、私立中生徒への年額十万円給付を、年収九百十万円未満の世帯に認め、四十億円を盛り込んだ。また、都立大の授業料について、現在、国と都の制度を合わせ、年収四百七十八万円未満の世帯が対象の無償化を、年収九百十万円未満まで引き上げる方針。二三年度は準備金として二千万円を計上し、都民を対象に二四年度からの実施を目指す。

 防災対策には、約七千四百億円を計上。小池知事肝いりの太陽光発電設備設置義務化を巡っては、二五年度からの実施に向けた事業者への支援として、七百八十億円を盛り込んだ。

 また、都立高入試で初めて活用され、受験生から不公正を訴える声があった英語スピーキングテストについて、二三年度からは中学三年生だけでなく、一、二年生も達成度を測るために実施する方針。二二年度に五億円だった予算は三十五億円に拡大する。

◆福祉保健局を7月廃止分割 組織再編

 都は福祉保健局を二〇二三年七月に廃止し、子育て支援や高齢者、障害者施策を扱う「福祉局」と、新型コロナウイルス対策などを担う「保健医療局」に分割する。複雑化する福祉、医療の課題に、高い専門性と機動性を発揮できる組織を目指すという。関係条例案を都議会第一回定例会に提案する。

 二三年度の都職員の定数は知事部局と公営企業で前年度比三百人増の三万二千七百五十六人。学校職員は千二百八十三人増の六万七千四百九十人。警視庁は四万六千五百一人(増減なし)、東京消防庁は一万八千六百八十四人(二十九人増)で計十六万五千四百三十一人。



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