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「百華彩鳳」に出演する舞踊家たち=京都市左京区

 日本舞踊を担う若手、中堅の8人が一堂に会し、東京と京都で企画公演をする。各流派が競演し、舞踊会では異例の試みも。発案した藤間勘十郎の狙いは、意外なところにある。

 東京の勘十郎と尾上菊之丞がオンラインサロン「K2 THEATRE」でライブ配信し、京都生まれの井上安寿子、尾上京、花柳双子、若柳佑輝子がユニット「京躍花(きょうようか)」を組む。2020年以降に相次いだ舞踊家たちの取り組みは、コロナ禍で舞台が激減したことへの危機感からだ。

 東西の舞踊家どうしで食事をしながら話し合う機会が増えた。若手がいない、衰退をどう食い止めるか……。試しに「京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)」を各流派の振りで踊り、サロンで配信した。「流派の違いって面白いんだな」と感じた勘十郎が、次は人前でと持ちかけた。

 東京公演は会場の国立能楽堂にちなんで、勘十郎が「猩々(しょうじょう)」、菊之丞が「娘道成寺」を舞う。京は「雪」、安寿子は「竹生島」と地歌を披露する。

 京都公演では舞踊劇「義経千本桜絵巻」が見せ場。歌舞伎舞踊と京舞が競演する。注目は、源九郎狐の双子による宙乗りだ。市川猿翁に始まり、昨年から勘十郎が芸術監督を務める会場の春秋座の機構を活用する。

 8人のうち54歳で最年長の若柳吉蔵は「三社祭」を初めて踊る。「花の心」は勘十郎家の振りに京躍花の4人が各家の工夫をする。花柳凜は「金谷丹前」で絵の中の傾城に扮する。

 日本舞踊とくくられるが、歌舞伎を元にする東京の舞踊と京都で発展した上方舞はかなり違う。「いろんな色があるのを、いっぺんに見ていただく機会が持てたら面白いだろうなあ」と勘十郎。

 京都では、一般客よりよく踊…

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