滋賀県教育委員会は今年度実施する教員採用試験から、大学3年生も1次試験を受験できるようにする。同様の制度は全国で広がり、関西の多くの自治体も今年度から導入する。和歌山県では昨年度に一足早く始め、3年生時点で合格を出した。全国的に教員不足が深刻化する中、他府県と足並みをそろえ「滋賀で教員に」をアピールしたい考えだ。
新制度「大学3年生夢チャレンジ選考」は、2025年度中に卒業見込みの大学3年生を対象に、小中学校や高校の教員など全校種・職種で募集する。3年生で筆記試験の1次試験を受験でき、合格すれば4年生は2次試験の面接からとなる。3年生で不合格の場合でも4年生で1次試験から再受験できる。
また、教員採用試験を受ける負担を減らすため、1次試験は全校種・職種で集団面接をやめ、2次試験では小学校教員のリコーダーなどの音楽実技テストを廃止する。
背景には、教員のなり手不足がある。県教委によると、教員採用試験の倍率は2019年度採用4・8倍が、24年度採用は3・1倍と低下している。福永忠克県教育長は17日の定例会見で「教員試験の受験者数が減っている。喫緊の課題だ。受験機会の拡大、負担軽減を図り、優秀な人材確保のために、多くの学生さんに受けてもらいたい」と説明した。
大学3年生に受験資格を拡大する制度は、京都市や大阪市、関西2府3県で今年度から始まる。昨年度から導入した和歌山県では、今年3月に和歌山大学が推薦する学生の特別選考をして、5人に合格を出した。合格者は4年生で大学が実施する研修プログラムを受講し、来年春から教員になる予定だ。
滋賀県の福永教育長は1月の会見で3年生受験の導入について「今のところ考えていない。効果と意味がどれくらいあるのか。3年生は教員になるためのさまざまな学びをしっかりすることが大切」と否定的な考えを示していた。導入決定後の今月17日の会見では、多様な学びをしてもらいたいとしつつ「近隣の各府県で実施しているのに滋賀県だけやらないというのは3年生の学生さんにとってはなんで、となる」と説明。「教育学部での説明会には3年生が多く満席になるくらいきてもらった。京都や岐阜にも出向き、多くの学生さんに『滋賀で教員になって』とPRしていきたい」と話した。(林利香)