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「竹パウダー」の原料となる竹を運ぶ生徒たち。東京のテレビ局の取材も受けた=真庭高提供
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 岡山県北部の県立2高が今年、地域の課題解決や産業振興に向けた事業アイデアを競う全国大会に臨んだ。真庭高校(真庭市)は放置林の竹を活用した防草や消臭の研究で最優秀賞。津山商業高校(津山市)は規格外のショウガを使ったみその商品開発で優秀賞に輝いた。

 専門科の高校生らが学習成果を披露する「全国高校生ビジネスアイデアコンテスト」(文部科学省など主催)。44校がまず書類審査に臨み、上位8校が10月に栃木県で開かれた決勝に進んだ。

 真庭高は経営ビジネス科3年の福島春美さんと二若智帆さんら4人が、地元の放置竹林解消にと「なくす竹害 竹と液肥でイノベーション」をテーマに研究。生え放題となっている竹を大量に消費できるアイデアを思案する中、粉末にして散布して防草に努めている市内での取り組みを知った。

 これに着目し行動開始。「竹パウダー」を5月にまいた校内の一角は、いまもほとんど雑草が生えていないという。また真庭市とともに、生ごみにかけると臭いが大幅に軽減されることを確認した。さらに粉末を混ぜたバイオ液肥で育てたプチトマトは、収量や甘みに有意な差が認められた。

 京都大の微生物研究の専門家にも協力を依頼。粉末と生ごみが回収され液肥プラントに入ると、メタンガスがより効果的に発生することもわかった。生ごみ回収車の燃料への活用が期待されるという。

 「ビジネスになるかという視点で審査を受けた。学校だけにとどまらない、地域を巻き込んだ取り組みなのがポイント」と竹内成長校長。福島さんと二若さんは「循環型社会への貢献に対する期待が評価されたと思う。大学に進学して研究を続け、後輩とも連携したい」と口をそろえた。

 津山商高は地域ビジネス科3年の赤堀迅さんら4人が、津山産の規格外のショウガを使った「つしょうがみそ」を紹介。地元の就労継続支援B型事業所の商品のブランディングを担い、販路開拓やレシピ開発を進めた。商品は市内の道の駅などで販売されているという。

 赤堀さんは「商品が切れると『次はいつ?』と聞かれるようになった。自分たちの代で終わらせるのはもったいない」。さらなる発展を後輩に託した。(小沢邦男)

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