インフルエンザの予防法

 全国でインフルエンザの感染が拡大しています。厚生労働省が9日に発表した直近1週間の全国の新規感染者数は、過去最多となりました。感染から身を守るために何が必要なのか、感染症に詳しい小児科医の菅谷憲夫・けいゆう病院名誉参事に聞きました。

 ――昨年12月29日までの1週間の定点医療機関あたりの新規感染者数が64.39人となり、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降で最多となりました。

 感染者数の増え方が急激でした。今シーズンの患者数(累積の受診者数)は昨年52週までに600万人ぐらい、1年前の昨シーズンは52週までで約1千万人でした。今のままの増え方がさらに続くと昨シーズンを超えますが、今の時点では昨シーズンより400万人ほど少ない状況です。

 現在流行しているウイルスは、インフルエンザA型のH1N1(pdm09)です。これは2009年にパンデミックを起こした新型インフルエンザの末裔(まつえい)です。ウイルスに変異が起きたときには流行が大きくなりますが、09年から大きな変異が起きていません。変異があったウイルスが流行するとワクチンの効果も落ちるはずですが、ワクチンは十分効いています。累積の患者数やウイルスが変異していないという点からみると、今年の流行が異常ということではありません。

 では、なぜ急激に患者数が増えたのか。結論からいうと人々の免疫が追いついていないということだと思います。2020―21年と21―22年のシーズンはインフルエンザの流行がなく、22―23年は感染者が約400万人の小さな流行でした。23―24年の昨シーズンは大きな流行がありましたが、この1シーズンの流行では国民の免疫が戻りきっていなかった。数年間、大きな流行がなかったことで国民全体としてインフルエンザへの免疫が落ちていたのではないかと思います。

 また、臨床現場の医師からは今シーズンはワクチン接種を希望する人が少ないという声も聞きます。インフルエンザワクチンの接種率が下がっている可能性もあります。

感染からどのように身を守るべきか

 ――ワクチンの有効性は変わっていないのですね。

 診療している大学病院などの…

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