国立病院機構・京都医療センター

 抗うつ剤の「パロキセチン」にくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤(どうみゃくりゅう)の破裂を予防する効果があるかもしれない――。大規模データベースの解析により、既存の薬に別の作用がある可能性を国立病院機構や国立循環器病研究センター(国循)のグループが見つけ米専門誌に発表した。

 くも膜下出血はおよそ3分の1が死亡、3分の1にまひや意識障害が残る。主な原因は、脳の動脈にできたこぶの破裂で、破裂のリスクはこぶが大きいほど高くなる。日本は海外に比べてくも膜下出血の発症率が高いことが課題になっている。

 国立病院機構京都医療センターの福田俊一診療部長(脳神経外科)らは、「P2X4」というたんぱく質の働きを止めると、脳動脈瘤の発生や増大を抑えられることを動物実験で確認。P2X4は、血流の感知にかかわり、血流による血管の負荷が増すと脳動脈瘤ができることも示した。

 福田さんらは、抗うつ剤として長く使われている「パロキセチン」に注目。パロキセチンには抗うつの作用とは別に、P2X4を抑える働きがある。脳動脈瘤がある人で、この薬を飲んでいる人とそうでない人を比較すれば、脳動脈瘤に対する効果もわかると考えた。

 そこで、全国の脳卒中関連の入院患者の大規模なデータベース研究(代表・国循の飯原弘二病院長)を利用して解析することにした。

 脳動脈瘤が見つかると、治療…

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