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潜水調査を終えて坑口から出てきた伊左治佳孝さん(右)=2025年1月31日午後3時51分、山口県宇部市、青瀬健撮影
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 戦時中の水没事故で183人が死亡した山口県宇部市の長生(ちょうせい)炭鉱に残る遺骨を収集するため、市民有志が31日、潜水調査を再開した。坑道内を調べたが、この日は遺骨につながるものは見つからず、2月2日まで続ける。安全や資金の担保が十分でない「手探り」の調査を強いられ、専門家は行政の関与を求めている。

 31日午後2時すぎ、坑道に通じる坑口から、水中探検家の伊左治佳孝さん(36)が海中に潜った。約1時間半後、命綱を頼りに坑道内を約250メートル進んだところで戻ってきた。

 「水中に構造物が多く、まるでジャングルジムをくぐり抜けるようだった」。調査後、伊左治さんは報道陣にそう語った。まずは遺骨が残っているとみられる地点へのルート確保をめざすという。

 伊左治さんに潜水を依頼したのは、市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」(刻む会)。刻む会は1991年に設立され、在日韓国人遺族らの要望を受け、遺骨返還に向けて活動してきた。遺骨が残っているとみられる地点への到達や遺骨につながるものの回収をめざしている。

 今回の調査は昨年10月末に続くものだが、探索では、安全面への懸念が尽きない。

 刻む会によると、坑口は木製…

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