車窓から山々の景色をながめる飛松武志さん(左)。参加者たちは学生との旅を楽しんだ=2025年2月1日午後、山梨県北杜市、遠藤和希撮影

 車いすで憧れのJR小海(こうみ)線に乗ってみたい――。沿線で車いすの生活を送る人たちからの要望を受けて1日、小海線の中込駅(長野県佐久市)―小淵沢駅(山梨県北杜市)間をイベント列車で往復する催しが開かれた。

 催しは「JR小海線で行く車いすの旅」。有志でつくる「小海線とふるさとを愛する会」(長野県小海町)が佐久総合病院の患者からの相談を受け、昨年から佐久大学の学生ボランティアらと準備を進めてきた。

 車いすで参加したのは沿線を中心とした県内外の9人。参加者たちは貸し切りとなった「キハE200形」(2車両)に乗務員のサポートで乗り込み、午前10時に中込駅を出発。終点となる約65㌔先の小淵沢駅で折り返して午後3時過ぎに中込駅に戻るまで、病院関係者との即興劇や小海線の駅名ビンゴなどを楽しんだ。

 標高の高い野辺山駅付近にさしかかると、「JRの最高地点の1375㍍です」などのアナウンスがあり、車窓から見渡す八ケ岳や富士山の雄大な景色に歓声が上がった。長野県御代田町の飛松武志さん(61)は「車窓の景色に憧れて、いつか乗ってみたいと思っていた。コロナ禍ではうちにこもることが多かったが、簡単に乗れるものではないので良い機会をもらえてうれしい」と笑顔を見せた。

 JR東日本によると、小淵沢駅と小諸駅(長野県小諸市)を結ぶ小海線(31駅)には無人駅が25駅ある。2022年からはこのうち7駅でスロープを設置し、事前に連絡すれば車いすの乗降のサポートを受けられるサービスを始めた。

 今回の企画は、小海線と同会が県の「地域発 元気づくり支援金」を活用し、参加者を無料で招待した。自身も車いすを使う同会の内田清司会長(62)は「駅の段差など利便性にはまだまだ課題があるが、喜んでもらえて良かった」と話した。

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