神奈川県

 【神奈川】横浜市立中学2年の女子生徒が4年前、いじめを理由に自殺した問題を受けて、市はスクールカウンセラーの派遣回数を増やし、教室に入りづらい生徒のための居場所をすべての市立中学校に設置するといった再発防止策に乗り出す。いじめなどの悩みを抱えた生徒の相談や支援を充実させるのが狙い。

 関係者への取材でわかった。市は9月からの実施をめざし、今月開会の市議会に関連予算3億4700万円を盛り込んだ補正予算案を提出する。

 女子生徒の自殺に関する第三者委員会の報告書では、女子生徒は亡くなる約半年前から不登校になり、養護教諭やスクールカウンセラーによるケアに結びつかなかったことが指摘されていた。

 そこで、市立中高と一部の特別支援学校に派遣しているスクールカウンセラーの派遣回数を現在の週1回から週2回に増やすほか、未配置の特別支援学校9校にも新たに週1回派遣する。

 不登校気味だったり、教室に入りづらさを感じたりする児童生徒が支援員らと過ごす「校内ハートフル事業」も、市立中学校では現在の80校から全146校に拡充する。

 女子生徒のいじめ自殺をきっかけに、市立学校では過去10年間で41件の自殺が起き、2022年度には同じ学校で生徒2人が相次いで自殺していたことが明らかになった。

 相次いで自殺した2人のうち1人は、遺族からいじめ被害の訴えがあったものの、市教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の認定に至っておらず、文部科学省は4月、市教委に聞き取りをし、速やかに重大事態調査を始めるよう指導や助言をしたという。(良永うめか、堅島敢太郎、小林直子)

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