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木で作られたお吸い物=2025年2月28日午前9時50分、広島市中区、遠藤花撮影
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 もみじ饅頭(まんじゅう)にソースたっぷりのたこ焼き、三つ葉とかまぼこの入ったお吸いもの……。思わずよだれが出てしまいそうだが、実はこれ、全て食べられないんです。

 広島市中区の広島三越で開催されている木彫り作家、今野周平さん(36)=静岡県浜松市=の作品展。食をモチーフにした本物そっくりの作品約150点が並ぶ。なかには、泡がこぼれる生ビールや洋菓子のフォンダンショコラ、卵ボーロも。

 今野さんが木彫りを始めたのはコロナ禍の2021年。自宅でコーヒーを入れた時に、「これ、木で同じように作れるかも」と思いついた。木彫りのコーヒー豆を家族に見せると好評で、SNSに投稿すると、長らく会えていなかった友人から「すごいね」とコメントがついた。久しぶりに人とつながった感覚に、喜びを感じた。

 それ以来、木彫りに没頭。「食べるのが好きで、ふだん観察しているから」と、食べ物ばかり制作している。

 色づけはアクリル絵の具や色鉛筆、化粧品など。食品サンプル作りに使うエアブラシだと、リアルになりすぎて作品だとわからない。だから、木目などが透けて見える絵の具などを塗って、作品だと気付いてもらい、驚かせる狙いがある。

 自信作は、1カ月かけて制作した「お吸い物」だ。化粧用ブラシを使い、おわんの内側を塗り分けて、すまし汁が入っているように見せた。すまし汁の表面や湯気も白色を使って表現した。具材ももちろん木製だ。

どれが本物?見分けるクイズコーナーも

 会場には、並べてある本物と作品を見分けるクイズコーナーもある。記者が挑戦すると、当たったのは19問のうち13問。間違えた6問はコーヒー豆やアーモンド、にぼしなど。あまりに似ているため、本物が作品のように見え、本物がそもそもどんな形状だったかわからなくなるほどだった。

 今野さんは「大人は酒のおつまみは見分けられるが、子どもはお菓子を当てるのが得意。日々よく見ている物の方が、正解しやすいのかも」と話す。

 作品展「キボリノコンノ展」は4月7日まで。午前10時半~午後6時(最終日は午後5時まで)。大人1200円、小中高生700円、未就学児無料。問い合わせはHOMEイベントセンター(082・221・7116)へ。

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