自宅でも職場でもない、心地良い居場所「サードプレイス」。洋菓子店を舞台に憩いの場のぬくもりを描いたNHKの夜ドラ「バニラな毎日」(月~木曜、午後10時45分)が、1月20日から始まった。主演を務める蓮佛(れんぶつ)美沙子さん(33)も、この作品に救われた一人だという。心の渇きをじんわりと癒やす、お菓子にはそんな力があるらしい。
「生きてると理不尽に思ったり自分を許せなくなったり、色んなことがあって。そんな私たちの人生をまるっと抱きしめてくれる、人間賛歌のようなドラマになったんじゃないかなと。一人じゃないんだよって伝えたいですね」
演じる主人公の白井葵(あおい)は、洋菓子作り一筋に生きるパティシエ。本格フランス菓子への強いこだわりと自分に厳しい性格が災いし、借金まみれで自身の店を畳むことに。ある日、料理研究家を名乗る佐渡谷(さどや)真奈美(永作博美)と出会い、2人でお菓子教室を始めることになって……。
こだわったのは、全シーンを自身で演技すること。撮影では専門的な役などで他の人が代わりに演じる「吹き替え」を使うことがあるが、今回は1カ月半前からお菓子作りの稽古に励んだという。「お菓子作りの経験はなかったんですが、どうしても自分でやりたくて。特にモンブランに苦戦して、何度もクリームを絞る練習をしました」
作中のお菓子教室に通うのは、仕事や家族の悩みを抱えた市井の人。頑張ってるんだけど、いつも空回り。そんな努力をお菓子作りを通じて肯定し、寄り添うヒューマンドラマになっている。
力が入りすぎてうまくいかず、苦しい状況に陥ってしまう。そんな主人公に自身を重ね、台本を読んで涙を流した。「物語の後半のある場面で、かつての自分を思い出して。傷ついたり悲しんだり。誰かにされることが多いけど、一方で救うのも『人』なんだなと思います」。頭をなでてもらうような、誰かに認めてもらえた感覚を持ち、作品に救われたという。
撮影の中心は、大阪市城東区…