内戦で武装勢力に押し込まれるミャンマー国軍が、国内各地で新たに民兵組織を立ち上げる方針を打ち出した。2月に始めた徴兵制に加えて、「治安強化」の名のもとに市民の動員を拡大する考えだが、地域社会を不安定化させる懸念が大きい。
国軍報道官は先月24日、BBCビルマ語放送に「国家、町、村の治安を回復するため、『地域安全・反テロ組織』を立ち上げる」と述べた。35歳以上の男性を優先して訓練を実施し、武器などの装備品も供与するという。地域ごとの自警団として機能する民兵組織とみられ、参加者は「有志から募る」としている。
国軍は今年2月、18歳以上の男女を対象に徴兵制を始めた。徴兵対象の男性は35歳まで。今回の民兵組織には徴兵の対象範囲外の市民がかり出されることが想定される。
組織設立の準備はすでに始まったようだ。国軍は先月中旬、各地での訓練実施や装備品供与を監督する中央機関を設置。最大都市ヤンゴン内のある郡区では、「35~65歳の男性に参加意思を確認している。可能な限り早い組織化を指示されている」(役所担当者)という。
国軍が新たな策を導入する背景には、内戦で劣勢に立たされている現状がある。北東部シャン州では先月上旬、国軍史上初めて軍管区司令部を武装勢力に占領された。武装勢力は第2の都市マンダレーにも迫っている。
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