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高松市にある四国霊場85番札所の八栗寺(やくりじ)。表参道の斜面を登り、二天門をくぐると、目の前に巨大な岩肌の山が迫って見える。並んだ四つの峰が特徴的な五剣山(375メートル)だ。
「四国防災八十八話マップ」で取り上げられている地震や津波に関する言い伝え・体験談から学ぶことのできる教訓を、マップのイラストも交えて、連載「つなぐ教訓」として紹介します。 今回は、「地震の被害が少ない」と思われがちな、香川県に残る震災の爪痕です。
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平安時代の天長6(829)年、修行中の弘法大師が山に登り、天から授かった5本の剣を埋めたことから名づけられたとされる。
昔は名前の通り、五つの峰があった。最も東の峰は、徳川5代将軍綱吉の時代の宝永4(1707)年10月に起きた宝永地震で崩れた。
当時の様子の言い伝えが、江戸時代の高松藩の記録をもとにして庵治町史にこう記されている。
「午後2時頃、大地震があり…